感想 『むらさきのスカートの女』
表紙絵
表紙にもデカデカと掲げてあるように、この作品は、今村先生の芥川賞受賞作で、結構最近の小説となっております。今村先生の本なら、過去に本屋大賞七位にランクインした「星の子」というものもみました。まだこの二作しか知らないのですが、この二作を読んだだけでも、本当に今村先生の独特なシナリオの書き方がよく伺えられます。
本作品はラベルにもある通り、まさに「狂気と紙一重の滑稽さ」が面白おかしく綴られております。近所のむらさきのスカートの女を理由もなく友達になりたいとストーカーし続ける語り手によって、話の内容は進められていきますが、物語の中心は当たり前ながらずっとむらさきのスカートの女です。
先ほど言った「星の子」もそうなのですが、この作品は、通常普通に生きている人なら誰しもが「ん?」って思うような行いを、そもそも普通じゃない(常識外れ)な語り手視点で綴ることによって、あたかもやっている常識はずれなことが普通なことのように思えてくるようなものです。ようするに、周りから見たら変なことでも、語り手もしくは主人公にとっては普通のことを、彼らが感じたありのままの様子で書かれているのです。それに、二つの作品に共通するほかの部分で、なんといっても切れ味の悪い終わり方。
そう、今村先生の全作品がそうなのかどうかはわかりませんが、少なくとも、「星の子」と「むらさきのスカートの女」はどちらとも、ラストが本当に漠然としているというか、もやもや~として全然はっきりしないのです。まるで日常のように続いていた動作がスパッと切られて、はい、終わり、と言っているような感じで、夢中になってページをめくりまくっていた僕は「え?次のページは!!?」ってついそう驚いてしまいます。
しかし、切れ味が悪い、とだけ言ってはまるで印象が悪くなってしまうので、もっと勘違いを招かないような言い方をするなら、「思わせぶりなラスト」というのがぴったりな感じがすると思います。今のところ、「星の子」に関してはなんとなく検討をつけてみましたが、たった今日読み終えた本作は、まだまだ何もわかりません、「結局あの後どうなったのやら・・・」と遠いまなざしで天井を見つめながら、じっくりと考えているところです。
とてもユニークな内容となっていますので、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか?
「むらさきのスカートの女」のほかに、「星の子」のアマゾンページも載せておきます!
0コメント