感想 『羊の告解』
絵表紙
僕が最近書いている応募作がブルーな作品だったので、ぱっとこのタイトル、そして作品に関する一文(『ある日突然「加害者家族」となった少年の、再生とゆるしの物語』)を見たら、これは読んだらブルーになるんじゃね?って期待していました。
が、そんなことはありませんでした。
ブリーになるどころか、すっきりとした終わりまでに通して、むしろ当事者になって救われた感じがわずかながらしました。なんというか、いまいち主人公に共感できませんが(共感できた方がすごいと思います)、わかってはいた上で、加害者側となった人の気持ちというものをより深く味わえた気がします。
「彼がそんなことをするはずがない」
「私がやったわけじゃないのに・・・」
「俺の気持ちの何がわかるんだよ」
そういった言葉を軽々しく使っている自分がばかばかしく思えてきますね。でも、だからと言って、同情なんてものも、感動なんてものも読んでいて全く感じられませんでした。いとうみく先生がこの作品を通して読者たちに何をお伝えしたかったのかはわからない所存ですが、少なくとも、僕にはただ「ふーん」としか言えない感じです。
主人公の境遇が「それ」だから、自分と比較すると自分が軽く見えるこそはあるものの、共感なんてできません。ただただ、加害者家族となってしまった方々の気持ちがほんの少し分かれた気がします。
そんな淡々とした作品のように感じられました。
興味があった方はぜひ読んでみてくださいね。
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